成績詳細の見方について(主にトレイルランナー向け)

北海道アウトドアフェスティバルで採用している計測システム(Ecard)は、国内ではオリエンテーリング競技で多く採用され(山の中で電源を必要としないので)、オリエンティア(オリエンテーリングランナー)が自分の成績を分析するためのソフトまで開発されています。
今回もこの分析結果を公開する予定ですので、トレイルランニングの参加者にも、ある一定の情報(分析結果)をお渡しすることができます。

【ラップ解析】

・ラップタイム、積算タイムはそのものです。

・巡航速度は、トップ3に対するパーセンテージです。

・ミス率は、オリエンテーリングが地図読みをして、自分がルートを考えながら走る競技なので、迷う、止まる、慎重に進むなどもすべてミスとして考えます。トレイルランニングはそのような状況は基本的にありませんので、迷ってもいないのにミス率が高いようであれば、コース状況に対してブレがある、コンスタントに走れていない。ということになると思います。

・ラップ上位3人に対する相対値はそのものです。

・ミスタイムは、トレイルランニングでは、コンスタントに走れたときとのタイム差と考えれば良いかと思います。

・ミスを除いたタイムは、実際のタイムからミスタイムを引いたもので、自分の巡航速度でコンスタントに走れたときのタイムと考えることができるでしょう。つまり自分の今の体力で、その他の問題(コース状況への対応などなど)をクリアした場合のベストタイムです。

【レッグ分析】

・レッグ長は、オリエンテーリングの場合チェックポイントからチェックポイントまでのルートは自分で決めるため、人によって距離が変わります。直線距離は分かりますが、実走距離とは異なります。そのため、全体の中でのパーセンテージで示されます。

・難易度ですが、オリエンテーリングではそのままレッグの難易度になります。難易度が高いとラップタイムがばらけやすく、低いとラップタイムが集中します。またばらけ具合が同じでも、レッグ長が短いと難易度が高く、レッグ長が長いと体力差によるものと判断でき、難易度は低くなります。トレイルランニングでは、コース状況を指すと言っても良いのではないでしょうか。

オリエンテーリングでは難易度の高いレッグを“勝負レッグ”と呼びます。つまり難易度の低いレッグでは、どんなにがんばっても、ライバルとの差はたかがしれてますが、難易度の高いレッグを難なく走り抜けることができると、ライバルに大きく差をつけることができます。これはきっとトレイルランニングでも同じでしょう。

【チャート】

・リアルタイムは、実際の時間で表示されています。どのくらいの集団で走っていたのかなどが分かるものですが、トレイルランニングは競技時間が長すぎて、横に広がっているので見づらいです。
 
・上位平均110%相対は、各ラップの上位3名の平均タイムの110%に対してです。線が垂直方向(下向き)に対して左によれば上位平均110%より速い、右によれば遅いと判断できます。

もし部分的に右向きになっているレッグがあるならば、そこは苦手なレッグである可能性が高いです。登りなのか、下りなのか、平地なのか、シングルトラックなのか。自分1人で走っているとわからない自分の弱点もラップタイムの比較で発見できます。

・巡航速度-ミス率ですが、オリエンテーリングでは、巡航速度が速く、ミス率が低いと速く走れます。これは相反するもので、巡航速度を上げようとするとミスが生まれ、ミスをしないように慎重になると巡航速度が下がります。トレイルランニングでは、ミス率に大きな差が出ることは無いと思われますが、アップ、ダウン、シングルトラックなど、どんなコース状況でも、トラック競技のように走り抜けることがミス率を下げることになると思われます。そしてそのまま巡航速度を上げることができれば、チャートの左上に寄って成績も上がる事でしょう。

ラップタイムやスプリットタイムだけでなく、巡航速度、ミス率、相対値などを分析することで、今の自分の走りを知ることが出来ます。これは一定なコースがなく、大会によっていろいろなコースが提供されるオリエンテーリングにおいて考え出された分析方法ですが、トレイルランニングにおいても、自分を知ることで、今後のトレーニング計画や走り方を研究するきっかけになると思いますので、是非活用してください。